
これらのイベントを支えるため、試行錯誤しながらパーティ小物からカラオケプレーヤー、チカチカする照明小物、拡声器などを購入し会場設営、撤去から受付まで裏方をボランティアスタッフですすめてきた。こうした活動の方向性を検討する「夢空間」会議で喧々諤々の討議の中から「サロン文化」というキーワードをもとに、裏方支援活動にスポットを当てるとともに利用者とのコラボレーション強化へと舵を切りました。
サロンといえば、「宮廷や貴族の邸宅を舞台にした社交界」ですが、やまゆりではサロンと呼んでいるスペースを音楽ホールに演劇舞台になど様々に様変わりさせ、麻生地区における創造的文化活動グループの発表や練習に供しながらスタッフもコラボ参加します。そこでは、作り手、表現者、裏方、鑑賞者がコラボしながら緊張感のもと、より良い表現、演奏など目指し、同じベクトルにむかってすすみます。
一例としては、表現するサイドのダンス団体から舞台の「暗転」の希望がでて、裏方スタッフは「暗転」のため徹底した遮光の試みをしました。それを見た劇団団体の脚本家が「暗転」を生かした脚本を書きあげ、さらに徹底した遮光のため備品購入の予算化というスパイラルが生まれてきました。
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えてして、今日の商業主義的な演劇や音楽の世界は徹底したプロ化と分業化によって、私たちは聴く人、観る人側であって、舞台、照明、音響など裏方と、表現する側、プロの奏者、演技者、これらの3者は完全に孤立してます。
やまゆり「サロン文化」というのは見る人、聴く人、演ずる人、支える人、これらの垣根を取っ払ってしまう試みです。毎秋、恒例となったシャンソンのコンサートのピアノ伴奏者は「観客との距離感、毎年毎年、少しずつ、舞台セット、照明など小さなことが改善されてスタッフが頑張っていること」にいたくお褒めの言葉を頂いています。照明スタッフには、やはり、この手作り感に大いに共鳴して、本業の忙しい中も、限られた機材で、素晴らしい照明のため駆け付けてくれます。
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フランスでは「サロン」に招かれた、様々なゲストたちがお互いに「知り合い」「ふれあい」「広げあい」ました。やまゆりでは麻生区周辺の人たちの様々な才能、素人芸からプロ級までがお互いの才能を認めつつ、切磋琢磨し表現に意を凝らし、それを助ける集団がいて、応援する良い観客が集まります。この循環がやまゆりの「サロン文化」です。